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2010年12月10日
客引き100メートルで6人 夜の立川駅周辺 不況で呼び込み必死

JR立川駅周辺での悪質な客引き行為を防ごうと、立川市が禁止条例を施行してから5年が過ぎた。
「立川駅は多摩の玄関口」と自負する市はパトロールにも力を入れており、「以前に比べれば、格段に減った」と胸を張る。
ただ、不景気のため、キャバクラの黒服だけでなく、居酒屋の店員も客の確保に必死だ。
“夜の街”の今を探った。

◆パトロール
「お遊びどうですか」「いい娘つけますよ」
金曜日の午後9時頃、立川駅南口そばの繁華街を歩くと、ジャンパー姿の中年男性が話しかけてきた。
無視して通り過ぎると、今度は若い黒服の男性が「どうですか、キャバクラ」と立ちふさがる。
約100メートルで6人に声をかけられた。
「当初に比べ、客引きは3分の1になったんですよ」。
市の「安全・安心パトロール指導員」を務める中田敏治さん(71)は、そう説明する。
現在、客引きがたむろしているエリアは、南北の駅出口から少し離れた繁華街が多いが、「条例ができる前は、駅のコンコースや歩行者用デッキにもあふれていた」と振り返る。
パトロールは、市が5年前、条例施行と同時に始めた。
現在、嘱託職員である指導員4人が交代で毎日午後2〜11時、駅周辺を巡回している。
古株の中田さんは「客引きたちのほとんどの顔と名前が分かる」と言う。
◆不景気
不景気のため、客引きたちも必死だ。南口にあるキャバクラの男性店員は「待っていても、客は来てくれない。
上役から『もっと呼んでこい』と厳しく言われている」と険しい表情で語る。
別の店の客引きの男性は、「1人当たりが使う金額が減っている。客引きは重要だ」と話す。
最近は、風俗店以外の客引きが増えてきた。歩行者用デッキ上で、居酒屋の客引きが常態化しており、中田さんは「ここ1、2年の傾向。
不景気になり、居酒屋も客の取り合いになっているのだろう」と嘆息する。

◆規制
立川市が客引きや勧誘行為、ピンクチラシの配布などを禁止する条例を施行したのは2005年10月。
市生活安全課によると、「市民から、駅前が怖いという苦情が増えた」ことが規制の理由だったという。
条例では、客引き行為などを発見した場合、警告、勧告を行う。
現在まで実施例はないが、改善がなければ業者名を公表した上で5万円の過料を科すことができる。
パトロールは嘱託職員だけでなく、4年前から市の部課長も週2回、より広範囲に駅周辺を見回っている。
さらに、市が駅周辺の事業者に依頼し、「事業者パトロール」も始めてもらった。
現在、第一デパートや多摩信用金庫など約30の事業者が参加し、月2回実施している。
また、同駅南口の商店街や自治会などは条例施行前の02年から、南口のパトロールを続けている。
JR立川駅周辺にキャバクラなど風俗店が集中しているのは、区画整理事業と不況が影響していた。
立川市区画整理課によると、南口周辺は1980年代に繁華街付近の区画整理が終了した。
道路の拡幅などで各地権者の土地が狭くなり、それまでの店舗兼住宅を商業ビルに建て替える地権者が続出した。
駅前に雑居ビルが増えたため、当初は飲食店などが多数入居した。
ところが、その後のバブル経済の崩壊で、駅至近のビルを賃借し続けられる業者は減少。
駅そばの不動産会社によると、その結果、90年代半ば頃から、不景気でも客の入りが良いキャバクラなどの風俗店が入居するようになったという。
立川署によると、現在、同駅周辺でキャバクラやホストクラブ、スナックなど接待する飲食店は約130店あり、多摩地区では有数の歓楽街という。
今年に入って、売春クラブなど2軒を摘発した。
同市で50年以上働く会社員の菊池昭男さん(79)は、「以前も繁華街だったが、情緒のある街だった」と振り返る。
60〜70年代頃は、個人経営の赤ちょうちんやバー、ダンスホールなどが軒を並べる飲み屋街だったという。

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